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パートタイム労働法の改正について

  2008年4月1日から、改正パートタイム労働法が施行されました。これは、少子高齢化、労働力減少社会で、パートタイム労働者(以下、パートタイマー)がその能力をより一層有効に発揮することができるようにするためのものです。

1. 改正のポイント

 改正内容のポイントは、次の6点です。
 (1) 雇い入れの際に、労働条件を文書などで明示しなければならない内容が追加されました。
 (2) 雇い入れ後にパートタイマーから求められたとき、待遇を決定するに当たって考慮した事項を説明しなければなりません。
 (3) パートタイマーの待遇は、その働きや貢献に応じて決定しなければなりません。
 (4) パートタイマーから正社員へ転換するチャンスをととのえなければなりません。
 (5) パートタイマーと事業主の苦情・紛争の解決の仕組みがととのえられます。
 (6) パートタイマーを雇用する事業主等への支援制度がととのえられます。
 ここでは、(1)(3)(4)(6)について簡単に説明します。

2. 労働条件の文書の交付等による明示の義務

 パートタイマーを雇い入れる際には、労働基準法で明示するように定められている項目に加えて、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」について、文書等で明示しなければなりません。違反の場合には罰則があります。

3. 均衡のとれた待遇確保の促進

 業務の内容や責任の程度が正社員と同じパートタイマーについては、賃金、教育訓練、福利厚生等の待遇面での差別的取り扱いが禁止されました。
 業務の内容や責任の程度が正社員と同じかどうかは、次の3つの要件で判断します。
 (1) 職務の内容
 業務の内容や責任の程度などによる。
 (2) 人材活用の仕組みや運用など
 転勤の有無や範囲などによる。
 (3) 契約期間
 期間の定めのない契約かどうかによる。期間の定めがあっても、反復更新することで、   期間の定めがないと評価されることもある。

4. 正社員への転換の推進

 パートタイマーから正社員への転換を推進するために、次のいずれかの措置をこうじなければなりません。
 (1) 正社員を募集する場合、その募集内容を既に雇っているパートタイマーに知らせる。
 (2) 正社員のポストを社内公募する場合、既に雇っているパートタイマーにも応募する機会を与える。
 (3) パートタイマーが正社員へ転換するための試験制度を設けるなど、転換制度を導入する。

5. 支援制度の整備

 パートタイマーと正社員の共通の評価・資格制度や短時間正社員制度の導入、パートタイマーの能力開発などの均衡待遇に向けた取り組みに努める事業主に対して、助成金が支給されるようになりました。

 以上、簡単に改正パートタイム労働法について説明いたしました。法改正への対応はもとより、今後労働力が不足していくことを考えると、多様な人材を活用する施策を積極的に取り入れていく必要があるでしょう。