クリエイティブビジネスサポート>解説>新型インフルエンザ対策

クリエイティブビジネスサポート 松尾社会保険労務士事務所

新型インフルエンザ対策

 厚生労働省が平成19年3月に「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」を、そして東京商工会議所が平成20年11月に「中小企業のための新型インフルエンザ対策ガイドライン」を発表しました。新型インフルエンザとは、人類のほとんどが免疫を持っていないために、容易に人から人へ感染するものであり、世界的な大流行(パンデミック)が引き起こされ、大きな健康被害とこれに伴う社会的影響が懸念されるものです。
これらのガイドラインによると、

  • 大流行に備え、それぞれの事業者が、お客様や従業員と家族の安全を第一に考え、感染拡大防止の対策を実施する必要がある。
  • 大流行により、数週間から数ヵ月ビジネスが中断する可能性があり、中小企業においては倒産の危機に直面する危険がある。

としています。

1.お客様や従業員と家族への感染の予防

 職場内での感染予防のために、以下の措置が必要です。

  • 従業員等に新型インフルエンザに関する情報を正確に伝え、感染予防策や健康状態の自己把握に努めるように、健康教育を行う。
  • 従業員等が海外渡航する場合には、会社へ報告するような仕組みを作る。
  • 在宅勤務、時差出勤、自家用車・徒歩・自転車による通勤などを検討しておく。
  • 不織布マスク、石鹸、使い捨て手袋、消毒用アルコールなどを備蓄しておく。
  • 38度以上の発熱、咳、全身倦怠感等の症状があれば、出社しないように要請する。この場合、産業医や専門の医師の意見を聞く
  • 電話会議、テレビ会議などを検討する。
  • 感染者がでた場合の対応手順を策定しておく。 など

2.社内体制の確立

 新型インフルエンザ発生に備えて、事前に社内体制を整えておくことが大切です。

  • 危機管理体制の確立

    経営者を長とする対策会議の設置、産業医や衛生管理者との連携  など

  • 情報収集及び周知方法の確立

    政府、自治体、保健所など情報入手先の確認・リスト化と、従業員や家族への周知方法の確立  など

3.要員不足対策

 感染被害は、世界各国、日本全域で広範囲に拡がるおそれがあります。また、一回の感染流行の波は約2ヶ月間続くとされており、その流行の波が1年以上繰り返すことも考えられています。各職場でも、相当数の従業員が欠勤することが予想されます(アメリカの職業安全管理局のガイダンスでは、感染流行のピーク時の欠勤率を40%と想定している)。そのため、以下の措置が必要です。

  • 限られた人員のもとでも継続すべき事業を選定する。
  • 不要不急の事業の取りやめや中断も考え、通常の稼働率の何割を確保するかを決める。
  • 関連取引先からの必要な物品、サービスの供給がなされるかを考慮する。
  • ステークホルダーも広く含めた対応を考慮する。
  • 交代、補助要員の確保を検討する。 など

 以上、簡単に新型インフルエンザ対策について、ガイドラインを基に説明いたしました。感染拡大を防止し、事業を継続させていくためには、対応を先送りせず、早めの準備が必要です。また、新型インフルエンザへの対策だけでなく、直下型地震への対策も含めて、危機管理体制を事前に整えておくことが必要です。