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クリエイティブビジネスサポート 松尾社会保険労務士事務所

雇用保険関連助成金の創設・拡充について

 最近の雇用情勢の急激な悪化への対応策のひとつとして、平成20年12月1日に助成金制度が創設・拡充されました。

1.中小企業緊急雇用安定助成金:創設

 従来の雇用調整助成金制度が見直され、生産量要件と雇用量要件が大幅に緩和されました。
 急激な資源価格の高騰や景気の変動などの経済上の理由による企業収益の悪化から、生産量が減少し、事業活動の縮小を余儀なくされた中小企業事業主が、雇用する労働者を一時的に休業、教育訓練又は出向をさせた場合に、休業、教育訓練又は出向に係る手当もしくは賃金等の一部が助成されます。

2.高年齢者雇用開発特別奨励金:創設

 雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者を、ハローワーク又は有料・無料職業紹介事業者の紹介により、一週間の所定労働時間が20時間以上の労働者として1年以上継続して雇用する事業主に対して、賃金の一部が助成されます。
 ただし対象となる65歳以上の離職者とは、以下の要件を満たす者に限られます。
(1)雇入れに係る事業主以外の事業主と、一週間 の所定労働時間が20時間以上の雇用関係にない者
(2)雇用保険の被保険者資格を喪失した離職の日から3年以内に雇入れられた者
(3)雇用保険の被保険者資格を喪失した離職の日以前1年間に、被保険者期間が6月以上あった者

3.特定求職者雇用開発助成金:拡充

 平成20年12月以降、中小企業事業主が障害者などの就職困難者を、ハローワーク又は有料・無料職業紹介事業者の紹介により継続して雇用する労働者として雇い入れた場合に、賃金の一部が助成されます。

4.試行雇用奨励金:拡充

 中高年齢者トライアルと若年者等トライアル雇用の対象者が拡大されました。平成20年12月以降、中高年齢者は45歳以上、若年者等は25歳以上39歳の方をハローワークが企業に紹介し、トライアル雇用を行った場合、支給されます。
 トライアル雇用とは、ハローワークが紹介する対象労働者を短期間(原則として3ヶ月間)試行的に雇い、その間に企業と労働者が相互に理解を深め、その後に常用雇用へ移行するものです。企業はトライアル雇用期間中に対象労働者の適正や業務遂行能力などを実際に見極めた上で、本採用するかどうかを決めることができます。

5.若年者等雇用促進特別奨励金:拡充

 若年者等雇用促進特別奨励金とは、不安定就労の期間が長い若年者(いわゆるフリーター)等の安定した雇用を促進するため、トライアル雇用終了後に、雇用期間の定めのない労働契約により継続して雇用する事業主に対して支給されるものです。この支給対象者が下記のように拡充されました。
(1)25歳以上34歳 → 25歳以上39歳
(2)トライアル雇用修了者のみ → 有期実習型訓練修了者も対象
(3)過去3年間被保険者でなかった者 → 過去1年間
 さらに、中小企業事業主には、支給対象期間を延長し最大1年6ヶ月間支給されます。

6.介護未経験者確保等助成金:創設

 介護関係業務の未経験者を雇用保険一般被保険者として雇い入れ、1年以上継続して雇用する場合であって、未経験者の雇用、育成、定着の促進に取り組む事業主の方へ助成されます。

以上、簡単に平成20年12月1日に創設・拡充された助成金について説明いたしました。