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解雇のルール

 解雇とは、労働者に対して使用者から労働契約を解除することをいい、様々なルールがあります。

1.解雇の理由

 解雇について労働契約法は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています。つまり、解雇するためには、合理的な理由があり、社会的にも認められることが必要です。嫌いだからとか、一回の遅刻を理由に解雇するといったことは当然認められません。

2.解雇ができないケース

 次の期間は、解雇することができません。
 (1) 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間
 (2) 産前産後の女性が労働基準法の規定に従って休業する期間(産前6週間(多胎妊娠の場合にあっては14週間)と産後8週間)およびその後30日間
ただし、上記の期間内であっても次の場合には、解雇することができます。
 (1)業務上の傷病が療養の開始後3年を経過しても治らない場合、使用者が平均賃金の1,200日分(打切補償)を支払った場合
 (2)天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となり、その事由について労働基準監督署長の認定を受けた場合
また、次のような解雇は禁止されています。
 (1) 労働者の国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇
 (2) 労働者が労働基準監督機関に申告したことを理由とする解雇
 (3) 女性労働者について、結婚、妊娠、出産、産前産後休業を取得したことを理由とする解雇
 (4) 育児休業および介護休業の申出をしたこと、または育児休業および介護休業をしたことを理由とする解雇
 (5) 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、または加入しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたこと等を理由とする解雇 など

3.解雇の手続

 使用者が労働者を解雇しようとする場合、原則として少なくとも30日前に解雇の予告をしなければなりません。例えば、12月31日付けで解雇したい場合には、12月1日までには解雇の予告をしなければなりません。もし30日前に解雇の予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。
 また、解雇予告と解雇予告手当を組み合わせることも可能です。例えば、13日分の解雇予告手当を支払うことで、30日前の解雇予告を13日分短縮することが可能です。
 しかし、労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合や天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合で、労働基準監督署長の認定を受けた場合には、解雇予告は不要です。
 また、試用期間中で入社後14日以内の労働者や、日雇労働者、2ヵ月以内の期間契約の労働者などには、解雇の予告は不要です。

 以上、簡単に解雇のルールについて説明いたしました。しかし、これはあくまでも法律上のルールです。ルールに則った解雇であっても、やり方を間違えると無用な摩擦を生み、不毛なトラブルへとつながっていきます。また、他の社員のやる気にも影響していまいます。相手への十分な配慮とコミュニケーションが重要です。